骨髄炎とは?原因・症状・治療方法を整形外科の視点で解説
骨は、私たちの体を内側から支えている大切な組織です。普段はあまり意識することがなくても、痛みや違和感が出ると、歩く、立つ、座る、物を持つといった日常の動作に影響することがあります。外から見ただけでは痛みの原因がわかりにくい場合もあるため、長引く不調には注意が必要です。
特に、痛みが強い、患部が熱っぽい、傷の治りが遅いといった場合は、体の内部で炎症が起きている可能性があります。痛みが続くときや、いつもと違う違和感があるときは、早めに原因を確認することが大切です。
骨髄炎とは
骨髄炎とは、細菌などが骨の内部に入り込み、骨や骨髄に炎症を起こす病気です。骨髄は骨の内側にある組織で、血液をつくる働きにも関わっています。骨は硬い組織ですが、血液が通っているため、体内に入った細菌が血流に乗って骨へ広がることがあります。
骨の中で感染が起こると、痛みや腫れ、熱感などの症状があらわれます。炎症が進むと骨への血流が悪くなり、骨の一部が傷んでしまうこともあります。見た目だけでは状態がわかりにくい場合もあるため、症状の経過や検査結果を合わせて確認することが重要です。
骨髄炎の原因
骨髄炎の主な原因は細菌による感染です。なかでも黄色ブドウ球菌が原因になることが多く、皮膚や傷口などから体の中へ入り、骨へと広がる場合があります。感染の広がり方には、血液を通じて骨に届く場合、近くの皮膚や筋肉の感染が骨まで及ぶ場合、けがや手術をきっかけに細菌が直接入り込む場合があります。
開放骨折、深い切り傷、手術後の傷、人工関節や金属プレートの周囲、糖尿病による足の傷などがある方は注意が必要です。糖尿病や血流障害があると傷が治りにくく、感染が深い部分まで進みやすくなります。現在の痛みだけでなく、過去のけがや手術歴、持病の有無も発症に関係します。
骨髄炎の症状
骨髄炎でみられる症状には、患部の強い痛み、腫れ、赤み、熱感、発熱、だるさなどがあります。足の骨に起こると歩きにくくなり、背骨に起こると腰や背中の痛みが長く続くことがあります。安静にしていても痛む、夜間に痛みが強くなる、湿布や痛み止めで改善しにくい場合は、早めの受診が大切です。
子どもでは、痛い場所をうまく伝えられず、歩きたがらない、腕や足を動かさない、機嫌が悪いといった変化で気づくことがあります。高齢の方や糖尿病のある方では、発熱や強い痛みが目立たないこともあります。小さな傷でも、膿が出る、赤みが広がる、治りが遅い場合は注意が必要です。
急性骨髄炎と慢性骨髄炎
骨髄炎には、急に症状が出る「急性骨髄炎」と、感染が長く続く「慢性骨髄炎」があります。急性骨髄炎では、痛み、腫れ、発熱などが比較的短い期間であらわれます。子どもでは血液を介した感染が原因になることがあり、大人では外傷や手術後、糖尿病による足の傷などが関係することがあります。
慢性骨髄炎では、痛みや腫れが続いたり、傷が閉じても再び膿が出たりすることがあります。骨の中に感染源が残ると、抗菌薬が届きにくく、再発しやすくなります。症状が一時的に落ち着いているように見えても、内部で炎症が続いている場合があるため、経過を丁寧に確認する必要があります。
骨髄炎の検査と診断
骨髄炎が疑われる場合、整形外科では痛みの場所、症状が始まった時期、けがや手術の有無、持病、発熱、傷の状態などを確認します。診察では、患部の熱感や腫れ、関節の動き、歩行の状態も見ます。血液検査では、白血球数やCRPなどを調べ、体の中で炎症が起きているかを確認します。
画像検査では、レントゲン、MRI、CTなどを使います。初期の段階ではレントゲンに変化が出にくいことがあるため、必要に応じてMRIで骨髄や周囲の炎症を詳しく調べます。また、血液や膿を調べて原因菌を確認し、効果が期待できる抗菌薬を選ぶこともあります。
治療方法
骨髄炎の治療では、原因となる細菌に対して抗菌薬を使用します。炎症が強い場合は点滴で治療を行い、症状や検査結果を見ながら治療期間を調整します。痛みが軽くなったからといって自己判断で薬を中断すると、感染が残ったり再発したりする可能性があるため、医師の指示に沿って治療を続けることが大切です。
膿がたまっている場合や、壊死した骨がある場合、金属材料の周囲に感染がある場合は、手術が必要になることもあります。手術では、膿を出したり、感染した組織を取り除いたりします。治療後は痛みの改善だけでなく、歩行や関節の動き、筋力の回復も確認し、必要に応じてリハビリを行います。
受診の目安
強い痛みが続く、患部が赤く腫れて熱を持っている、発熱がある、傷から膿が出るといった場合は、早めに整形外科へ相談してください。特に糖尿病がある方や、人工関節、金属プレートが入っている方は感染が深く進む前に状態を確認することが大切です。
骨髄炎は、早い段階で見つけて原因に合った治療を始めることで、骨への影響や治療の長期化を抑えやすくなります。普段の痛みと違う、傷の治りが遅い、体調不良を伴うと感じたときは、無理に様子を見続けず、整形外科で相談することが安心につながります。
