膝の痛みで正座ができないのは変形性膝関節症かも?|にしぎふ整形外科リハビリクリニック|西岐阜の整形外科

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医療コラム

膝の痛みで正座ができないのは変形性膝関節症かも?|にしぎふ整形外科リハビリクリニック|西岐阜の整形外科

  • 2025年11月10日

膝の痛みで正座ができないのは変形性膝関節症かも?

正座をするたびに膝が痛む、深く曲げるのがつらいと感じることはありませんか。日本の生活文化において正座は欠かせない姿勢ですが、その動作は膝関節に大きな負担を与えます。特に中高年層で「最近正座がしにくくなった」と感じる場合、単なる疲労や年齢のせいではなく、膝関節の変化が関係していることがあります。その代表的な原因が「変形性膝関節症」です。初期の段階では軽い違和感や痛みだけですが、放置すると膝の変形が進み、歩行や立ち上がりにも支障が出てきます。

正座がつらくなったら、それは膝からのサイン

畳に座るとき、膝に鋭い痛みを感じたり、深く曲げると重たさや違和感がある場合、膝関節に何らかの異常が起きている可能性があります。正座は膝を深く折りたたむため、関節や軟骨に強い圧力がかかる姿勢です。そのため、加齢や筋力低下、長年の生活習慣などによって軟骨がすり減ると、痛みが現れやすくなります。

こうした膝の痛みを放置していると、関節の動きが次第に悪くなり、曲げ伸ばしがしにくくなります。正座を避けるようになると、膝を支える筋肉も弱まり、関節への負担がさらに増してしまいます。痛みを感じた段階で早めに専門医を受診し、膝の状態を確認することが大切です。

変形性膝関節症とはどんな病気か

変形性膝関節症は、膝の軟骨がすり減り、関節内で骨がこすれ合うことで痛みや炎症が生じる慢性疾患です。軟骨は骨の間でクッションのように衝撃を吸収する役割を果たしていますが、年齢や体重、運動不足などの影響で摩耗していきます。その結果、骨の変形や関節液の増加が起こり、膝の腫れやこわばりが続くようになります。

特に女性に多くみられ、閉経後のホルモン変化や筋力の低下が関係しているといわれています。また、O脚の人は膝の内側に負担がかかりやすく、進行しやすい傾向があります。初期の段階では「膝がこわばる」「動かすとギシギシする」などの軽い症状から始まり、やがて関節が変形して正座が困難になります。

正座ができなくなる理由

正座の姿勢は膝を深く曲げた状態で体重を支えるため、膝関節に非常に大きな圧力がかかります。軟骨がすり減った状態では、この圧力を分散できず、関節面が直接ぶつかって痛みが出やすくなります。また、炎症によって関節液が増えると膝が腫れ、可動域が制限されるため、完全に曲げることが難しくなります。

さらに、膝周囲の筋肉や靭帯が硬くなると、関節の動きがより制限されます。太ももの前側の筋肉(大腿四頭筋)は膝を安定させる重要な筋肉ですが、この筋力が低下すると、膝を支える力が弱まり、痛みを感じやすくなります。筋肉の柔軟性と強さの両方を保つことが、膝の可動域を維持する鍵です。

放置による悪循環

膝の痛みを我慢していると、関節の変形が進み、痛みが慢性化します。歩き方が変わり、片方の膝に負担が偏ると、全身のバランスが崩れて腰や股関節にも影響が及びます。膝を動かす機会が減ることで筋力が低下し、さらに膝への負担が増すという悪循環に陥ります。

進行すると、膝が完全に伸びなくなったり、歩行中も痛みを感じるようになります。こうした状態になると、日常動作そのものが困難になります。関節の変形を防ぐためには、早めの治療と生活習慣の見直しが欠かせません。

整形外科での診断と治療

膝の痛みが続く場合は、整形外科での診察が必要です。まず問診で症状や生活習慣を確認し、触診で腫れや可動域を調べます。X線検査では関節の隙間や骨の変形を確認し、必要に応じてMRIで軟骨や半月板の状態を詳しく評価します。

治療は進行度に応じて選択されます。初期段階では運動療法と薬物療法が中心です。痛みを和らげる鎮痛薬やヒアルロン酸注射のほか、筋力をつけるトレーニングが効果的です。進行が進んだ場合は、関節鏡手術や人工膝関節置換術が行われることもあります。症状を軽減するためには、医師の指導に基づいた継続的なケアが大切です。

自宅でできるケアと予防

日常生活の中で膝を守るには、体重管理と筋力維持が欠かせません。体重が1kg増えると、歩行時にはおよそ3倍の負担が膝にかかるといわれています。適正体重を保つことで膝への負担を減らせます。

また、軽いストレッチや太ももの筋肉を鍛える運動は、関節の安定に役立ちます。膝を冷やすと血流が悪くなり、痛みが強くなることがあるため、温めて血行を促すことが効果的です。正座がつらいときは椅子を活用し、膝を無理に曲げないようにすることもポイントです。

膝の健康を守るために

膝の痛みを軽く考えず、違和感を覚えた段階で整形外科を受診することが、膝の健康を保つための最善の方法です。変形性膝関節症は進行性の病気ですが、早期に治療を始めることで進行を抑え、日常生活の快適さを維持できます。

膝は体を支える大切な関節であり、痛みを我慢することはさらなる悪化を招く原因になります。正座ができないと感じたときこそ、膝からの警告です。専門医の指導のもと、治療とリハビリに取り組みながら、長く自分の足で歩ける健康を守っていくことが大切です。