胸郭出口症候群とは?肩から手にかけて続くしびれや痛み|にしぎふ整形外科リハビリクリニック|西岐阜の整形外科

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医療コラム

胸郭出口症候群とは?肩から手にかけて続くしびれや痛み|にしぎふ整形外科リハビリクリニック|西岐阜の整形外科

  • 2025年8月25日

胸郭出口症候群とは?肩から手にかけて続くしびれや痛み

肩から手にかけて続くしびれや痛みは、日常生活や仕事に支障を与える厄介な症状です。パソコン作業をしている時や重い荷物を持った後に違和感を覚える方も多く、単なる疲労や肩こりと考えてしまいがちです。しかし、その背景には胸郭出口症候群と呼ばれる病気が潜んでいる場合があります。胸郭出口症候群は発見が遅れると慢性化しやすく、長期的な不調につながることもあります。

本記事では、「胸郭出口症候群の症状」について解説します。肩から手にかけて、しびれや痛み、ダルさがある場合は当記事をご参考にいただければと思います。

胸郭出口症候群とは?

胸郭出口症候群は、首から腕に向かう神経や血管が、鎖骨や肋骨、前斜角筋などの筋肉によって圧迫されることで発症する疾患です。この圧迫が起こる部位は大きく3か所あり、①斜角筋の間、②鎖骨と第一肋骨の間、③小胸筋の下です。これらの部位はいずれも狭い通り道であり、姿勢や筋肉の状態によって圧迫が強まりやすい構造になっています。

胸郭出口症候群は神経型・動脈型・静脈型の3つに分類されます。神経型は腕神経叢と呼ばれる神経が圧迫されることでしびれや痛みが出るタイプで最も多く、全体の約9割を占めます。動脈型では血流障害による蒼白や冷感、静脈型では腕の腫れや血栓が見られることがあります。単なる肩こりや疲労と異なり、しびれや血行障害が同時に見られる点が特徴です。

胸郭出口症候群の主な症状

代表的な症状は、肩から腕、手にかけて広がるしびれと痛みです。特に小指側や薬指側に症状が出やすく、手先の感覚が鈍くなることもあります。物を握ると力が入りにくい、ペンを長く持っていると疲れやすいといった細かな動作への支障もよく見られます。

血管が圧迫されている場合には、手が冷たく感じたり、蒼白になったり、逆に腫れや色が紫色に変化することもあります。症状は持続的に現れる場合もあれば、特定の動作で強まることもあります。例えば、手を上に挙げたときや重い荷物を肩にかけたときに悪化するのが典型的です。症状が進行すると日常生活の負担となり、睡眠の妨げになることもあるため注意が必要です。

胸郭出口症候群の原因

胸郭出口症候群の原因は、姿勢や生活習慣、体型が関わっています。なで肩の方は鎖骨が下がり、神経や血管が通る隙間が狭くなって圧迫が起きやすくなります。猫背や長時間の前かがみ姿勢も筋肉の緊張を強め、神経や血管を圧迫する要因です。

また、スポーツや仕事で腕を繰り返し使うことも原因のひとつです。特に野球やバレーボールなどのオーバーヘッド動作を伴う競技や、重量物を扱う仕事では筋肉や靭帯が肥厚し、圧迫が強まります。さらに、交通事故などで首や肩に外傷を受けた場合にも、筋肉や骨格の変化によって胸郭出口症候群を発症することがあります。

胸郭出口症候群を発症しやすい人の特徴

胸郭出口症候群は、特定の体型や生活習慣を持つ人に多く見られます。なで肩や細身の女性は発症リスクが高く、10代後半から30代にかけての女性に特に多い傾向があります。筋力が弱いことで肩が下がりやすく、胸郭出口が狭くなってしまうことが原因のひとつです。

また、デスクワーク中心の生活を送る人は、長時間前傾姿勢を続けることで首や肩の筋肉が緊張し、神経圧迫を引き起こしやすくなります。肉体労働者など、腕を酷使する職業の人もリスクが高いグループです。さらに、肩こりや首のこわばりが慢性的にある人も、胸郭出口症候群を発症しやすい特徴を持っています。

胸郭出口症候群の治し方

胸郭出口症候群の治療は、姿勢の改善や首・肩・胸のストレッチ、筋力トレーニングによって神経や血管の圧迫を和らげることが基本です。また、リハビリで筋肉のバランスを整えると、多くの場合は症状が軽快します。炎鎮痛薬で痛みを和らげたり、血流改善薬を使うこともあり、強い痛みやしびれが続く場合には、神経ブロック注射で一時的に症状を緩和させる方法もあります。

胸郭出口症候群に似た疾患

胸郭出口症候群は、他の疾患と症状が似ているため、誤診されやすい病気です。似たような疾患であっても、「原因がどこで神経や血管を圧迫しているのか」によって治し方は異なります。

たとえば、頚椎椎間板ヘルニアは首の椎間板が突出して神経を圧迫することで、肩から腕にかけてのしびれを起こします。頚椎症性神経根症も同様に、加齢による頚椎の変性が原因です。これらは胸郭出口症候群と区別が難しいため、画像検査や神経学的検査が重要になります。

また、手首の神経が圧迫される手根管症候群も、手指のしびれを引き起こすため鑑別が必要です。さらに、肩関節周囲炎(いわゆる五十肩)も肩の痛みや可動域制限を伴うため混同されがちです。胸郭出口症候群を正しく診断するには、発症のタイミングや症状が出る動作、しびれの範囲を丁寧に評価する必要があります。

手や肩のしびれなら「にしぎふ整形外科リハビリクリニック」

一時的な痛みやしびれであっても、繰り返されたり、強くなっている場合は、早めの受診が大切です。放置すると慢性化し、症状が進行するおそれがあります。気になる症状がある場合は、岐阜市にある「にしぎふ整形外科リハビリクリニック」にご相談ください。当クリニックでは、日本整形外科学会認定の整形外科専門医が、患者さま一人ひとりに寄り添った丁寧な診察と治療を提案いたします。