- 2025年3月10日
ばね指は自然に治る?ばね指の原因と治し方
スマートフォンの普及やパソコン作業をする人が増えたことで、手指を使う時間が長くなった近年、指先や手のひらに違和感を覚える方が増えています。特に、指を動かした際に引っかかりや痛みを感じる「ばね指」は、放置すると日常生活に支障をきたすことがあります。一見軽い症状に思えても、悪化すると慢性的な痛みや指の変形を引き起こす可能性があるため、適切に対処することが重要です。
本記事では、ばね指の原因や治し方について解説します。
1.ばね指とは?
ばね指とは、指を曲げ伸ばしする際に関節がスムーズに動かず、カクンという強い引っかかりや痛みを伴う状態です。医学的には「狭窄性腱鞘炎」という名称がついており、指を動かす役割を担う腱の通り道である腱鞘が炎症を起こすことでばね指を発症します。腱鞘が腫れることで、腱がスムーズでなくなるため、指を曲げる際に違和感が生じ、その結果、指を無理やり伸ばしたり曲げたりしたときに、ぱちんと弾けるような感覚を覚えます。発症し始めの段階では違和感程度で済みますが、症状が進行すると仕事や日常生活にも大きな支障をきたすことが特徴です。また、主に中高年以降の女性に多く見られる傾向があります。
2.ばね指の原因
ばね指は、指の腱と腱鞘の間に大きな摩擦が生じたり、炎症が起こることが原因で発症する症状です。普段、頻繁にパソコンを操作する方やスマートフォンを1日中触ることが多い方は、指をたくさん使うことで腱鞘に大きな負担がかかり、ばね指の発症に繋がりやすくなります。さらに、手芸やピアノなどが趣味の方の場合、指先を細かく使う動作が習慣化していると、腱鞘への負担が増えて炎症を引き起こしやすくなりがちです。加えて、糖尿病やリウマチといった疾患がある場合、血流や組織の代謝が不十分になりやすく、ばね指を発症する可能性が高まります。年齢を重ねることで手指の柔軟性が落ち、腱をスムーズに動かすことが難しくなります。このように様々な原因が重なり合い、ばね指を発症しやすくなります。
3.ばね指の症状をセルフチェック
朝起きたときに「指がこわばって伸ばしにくい」「曲げるときに軽い引っかかりを感じる」というような場合、ばね指の初期症状を疑うことが大切です。症状が軽度であれば、指を動かすことで段々とこわばりが治っていくため、一時的なものとして気に留めない方もいらっしゃるかもしれません。しかし、症状が進むと、痛みや腫れ、指を伸ばすときに強い違和感が生じ、ひどい場合には指を完全に伸ばすことができなくなることもあります。さらに、指の付け根部分を触るとしこりのような腫れを感じる場合、腱鞘内で炎症が進行している可能性があります。このように、セルフチェックで気づくことのできる症状もあるため、サインを見逃さないことが大切です。
4.ばね指になったときにやってはいけないこと
ばね指の症状を自覚しているにもかかわらず、痛みを我慢して指を無理に動かし続けることは厳禁です。例えば、パソコンのキーボードやスマートフォンの操作を続けたり、指先を使う仕事を長時間休憩なしで行ったりすると、炎症がさらに悪化し、治療にかかる期間が長引く恐れがあります。また、正しい知識を持たないまま、強い力で指をセルフマッサージしたり、引っ張ったりすることも避けるべきです。誤った方法で刺激を与えると、腱や腱鞘をより傷つけてしまう場合があり、症状が慢性化するリスクを高めてしまいます。たとえ痛みが軽減していると感じる瞬間があっても、症状が完全に治っていない段階で、過度に負担をかけると再発しやすくなる点にも注意が必要です。ばね指の症状を感じたら、まずは無理な作業やセルフマッサージはせず、整形外科へ相談することが大切です。
5.ばね指は自然に治る?
ばね指は軽度の状態で早めに対処できれば、比較的すぐに症状を和らげることができる可能性があります。例えば、パソコン作業やスマートフォンの利用時間を減らす、適度に休憩をはさむなどの工夫をすることで、腱鞘への負担を軽減し、炎症の進行を抑えられる場合があります。しかし、重度の症状へ進行している場合や、痛みがしばらく続くときには、自然に治ることを期待するのはリスクが高いと言えます。放置すると慢性的に痛みが続くだけでなく、指の曲げ伸ばしがうまくできなくなり、最悪の場合には手術が必要となるケースもあるため、疑わしい症状を見つけたら迷わず整形外科を受診することが大切です。自然に治したいからといって、長期間放置してしまうと治療の期間がかえって長引く可能性がある点は理解しておく必要があります。
6.ばね指になったときの正しい対処法
ばね指を発症した場合、まずは炎症を抑え、患部への負担をできるだけ減らすことが大切です。痛みや腫れが強い場合は、整形外科を受診し、適切な診断を受けることが重要です。治療としては、テーピングや装具を使用する保存療法が行われることが多く、症状の軽減が期待できます。しかし、保存療法で十分な改善がみられない場合や、症状が重い場合には、手術による腱鞘の切開が必要になることもあります。自己判断で対処しようとせず、医師の判断を仰ぎながら適切な治療を受けることが、早期回復につながります。
7.日常生活で注意すべきこと
日常生活の中で指に負担をかけない工夫をすることが、ばね指の予防につながります。特に長時間のパソコン作業では、こまめに休憩を取り、ストレッチで指先や手首の筋肉をほぐすことが効果的です。スマートフォンを操作する際も、片手だけで持ち続けると特定の指に負担がかかるため、持ち方を工夫しましょう。さらに、適度な運動や入浴によって血行を促し、腱鞘の動きを滑らかに保つことも大切です。糖尿病やリウマチなどの疾患をお持ちの方は、主治医と相談しながら血糖値の管理や炎症のコントロールに努めることで、リスクを抑えられます。