この時期には骨の成長は完了してきており、大人の身体に近づいています。スポーツの活動性が上がり、スポーツ特有の怪我が多くみられるようになります。男子の場合は高校1〜2年生、女子は中学3年生ごろまでが成長期です。スポーツ障害は、成長期と同様に筋力の低下や柔軟性の低下、全身的な動作の問題などが原因となりやすいため、リハビリを行い復帰、再発を予防することが大切です。もしどこかに痛みがある、違和感がある、パフォーマンスが発揮できないなどがありましたら、早めの受診をお勧めいたします。
代表的なスポーツ外傷
肩関節脱臼・反復性肩関節脱臼
スポーツや転倒などによって肩関節が外れることをいいます。若ければ若いほど一度脱臼することで外れやすくなってしまう方が多く、反復性肩関節脱臼といいます。ラグビー、アメフト、柔道、サッカーなどの選手によくみられます。年齢に関わらず、日常生活に支障をきたしたり、パフォーマンスを十分に発揮できない場合は手術が必要となる可能性があります。
肉離れ
スポーツを行う中で、急に無理な動作を行った場合に、筋膜や筋繊維の損傷・断裂が起こった状態を肉離れといいます。激痛が走り、それ以上の運動を続けられなくなることもありますが、違和感程度で症状が分かりにくいこともあります。肉離れは損傷部位などによって復帰時期が大きく変わります。最も起こりやすい部位は、ハムストリングス(大腿部後面の筋)です。超音波検査やMRI検査などで的確に診断し、復帰に向けて局所安静の後、ストレッチなどのリハビリを行っていきます。
膝前十字靭帯(ACL)損傷
サッカーやバスケットボール、バドミントン、柔道など様々なスポーツ中に発生します。ジャンプの着地や切り返しの際に膝をひねったりすることで前十字靭帯が損傷します。急性期の痛みや腫れが回復すれば日常生活はおくれることが多いものの、スポーツの際には膝くずれなどの症状を繰り返し、半月板損傷や関節軟骨損傷をきたし、早期に変形性膝関節症に至ることが多いです。その為、ある程度のスポーツ活動を行うためには手術治療が必要となります。また、手術後は再発予防も含め一定期間のリハビリの継続が重要です。
半月板損傷
半月板は、膝関節中(大腿骨と脛骨の間)の内外側にあるC型の繊維性軟骨です。膝関節の荷重分散、関節安定性、潤滑機能を担っていると考えられています。若年者の半月板損傷は、前十字靭帯(ACL)損傷とともに起こる事が多く、膝に荷重がかかった状態で屈曲とともに急な回旋運動が加わった時に損傷しやすい。加齢に伴う半月板変性を基盤とした損傷は、軽微なきっかけで起こることもあります。損傷の程度は一般的にMRIで診断しますが、関節鏡で直接確認しないと分かりにくい損傷もあります。損傷の程度や選手の状況などを踏まえ、注射やリハビリを組み合わせた保存療法、手術治療の選択肢を慎重に見極めて治療を進めていきます。
足関節捻挫
スポーツを行う中で、非常に多い疾患です。ジャンプ後の着地や急な方向転換の際に靭帯が引き伸ばされてしまい、損傷や断裂が起こります。
代表的なスポーツ障害
アキレス腱炎・アキレス腱周囲炎
アキレス腱やその周囲に炎症が起こります。過度な運動量で生じることもありますが、運動時の地面の硬さや、筋柔軟性の低下、身体の使い方など様々な原因が考えられます。運動量の調節とリハビリで改善することが多いですが、復帰には意外と時間がかかる(数ヶ月)ことがあります。注射や対外衝撃波、再生医療を行うこともあります。